ビンフオック省

(平福省、Bình Phước)

カンボジアとの国境地帯に位置するこの省。1976年、ビンロン(平隆/Bình Long)省・フオックロン(福隆/Phước Long)省・そしてビンズオン省合併し、その後ビンズオン省が1996年に分割されたことで合成地名として現在の省になった。

しかしながら、この省にはある悩みがあった。
それは、ビンズオンほどではないにせよ表記揺れが激しいことである。第一に漢字文化圏なのに意地でもアルファベットを使ってその上で同音(近音)異義語を発音で分けたいという凝r…
ちょっとかっとなってしまった。反省している。

それはそれとして、まず「ビン(Bình)=平」というのは、おそらく越南的見聞のトップページを見てくれれば察しが付くだろう。平定・平陽・平順と合わせて「四平」と呼ぶ人はおそらくいない[1]だろうが、まあチュノムとクオック・グーの対応がある程度分ければなんとなく察しが付くだろう。

問題は「福(Phước)」のほうである。ベトナム南部であるこの省は「ビンフオック」と日本では通常音訳されるが、この反対側、ハノイ近郊に永福Vĩng Phùcがある。この省は、日本ではヴィンフック省と音訳される。「Phước」と「Phùc」の違いについては、ベトナム語の情報でもあまり詳しくは分からないが(流し読みしかできなかったが)、おそらく南北に離れていることから、方言の差であろう。

だが、ビンズオンで話した通り、なぜか時折真ん中の「オ」が飛ぶことが多く、福省が「ビンフック」になってしまうことが多々見受けられる。さらに、福省もまた、「B」と「V」の混同からか「ビンフック」になることがある。さあ大変だ。

今はまだ南北の都市は心理的にも離れているからまだいい。もし、経済発展で南北がもっと密接な存在になった場合[2]福省に行こうとして間違えて福省に行ってしまう危険性があるのではないか。大阪の福島に行こうとして間違えて東北の福島に行ってしまう以上の悲惨さだ。

…だが、VIETJO先生でさえ福省に「ビンフック省」表記を使っている(福省は「ビンフオック省」表記)。幸い、記事では「北部紅河デルタ地方ビンフック省人民委員会は~」のように、地域名を付けているようだ(参考)。しかしながら、南部ビンフック省なんて表記もまあまあ見られる(多くは北部を指しているようだが…)。まあ、クオック・グーであればちゃんと見わけは付くんですが、やっぱり漢字のほうが便利と言える最たる例ではないだろうか。

脚注

  1. 平福省と平陽省は隣接しており、かつてはソンベ省(Sông Bé / 瀧閉)という一つの省だった時代もある。もしかしたら、この2省で「二平(
    Hai Bình)/両平(lạng Bình または lưỡng Bình)」と呼ぶ需要はあるのかもしれない。だが、それ以外の2省はやや、というかかなり離れている。
  2. とはいえ、距離は1700km以上離れている。札幌と博多ほどではないにせよ、時速360kmでかっ飛ばしても5時間近くはかかる。飛行機なら2時間くらいらしいですがね。

外部リンク

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