2. 住宅論

「高速鉄道と高速道路」の話ばかり話題になる田中角栄であるが、彼はこんなことも言っている。

「人口の三二%が国土の一%に住む(日本列島改造論 P33-35)
1人1平方メートルの公園面積(同 P44-46)
東京の下町は5時間で焼き尽くす(同 P46-49)
一人あたり四畳半の住宅(同 P51-53)」

…などなど。むしろ、「過密と過疎の改善」という点が原点にあり、「都心に集中した機能の地方移転」を掲げ、その対策として高速鉄道・高速道路などなどを挙げているに過ぎない。

もっとも、当時はまだ住環境が解決されてなかった。…と逃げることはできる。
しかしこの問題についてはむしろ悪化しているといえる。
オイルショックを経て、バブル経済に入り、土地の値段が吊り上がった結果、一介のサラリーマンが買える家は遥か彼方の物件という結果となってしまった。
1991年のドラマ「それでも家を買いました」では、最終的に旧城山町の物件を7000万円で購入したとのこと。
平成生まれにはよくわからないが、それほど一軒家志向が強かったということなのだろう。
なお、某住宅検索ツールを利用したところ、今でも中古物件が1000万円程度で売られているとのこと。

21世紀の現在においても、具体的な名前の明言は避けるが、

など。

21世紀の今でも、「新築一軒家信仰」は残っている。逆に言えば、それを捨てて郊外の駅から20分の中古一軒家であれば、4LDKで1000万円を切る物件もある。
2000万円あればある程度の条件に合致した家も出てくる。

2.1. 狭小住宅論

まずは狭小住宅論から挙げていくことにする。
確かに狭小住宅は面白い。ただ、「萌え」こそすれど、住むのは控える。理由は、もちろん「撮影スポットになるから」だけではない。

こと21世紀に入ってからは都市部にある中規模の邸宅が売却の上分筆され、数坪単位の家が大量に供給されるに至った。
次の「タワーマンション論」でも述べるが、タワーマンションがブームになるに至って、
「やはり土地を持ったほうがいい」という意見が強まり、このような狭小住宅が増えるに至ったのだろう。

問題点としては、まず「防災の問題」がある。地震や台風が同地を襲い、道や前の家が崩れれば、脱出できず生命を脅かしかねない。
その上、火災も襲ったとしたらひとたまりもない。昨今の家の場合少なくとも2m要項(自宅の再建築ができるのが戸口2m以上である)は満たしていると思われるが、
同要項が作られる以前に建てられた広義の「狭小住宅」であればその危険性はさらに高まる。

仮に戸口が条件を満たしうる家であっても、接道する道が細ければまた危険である。

2.2. タワーマンション論

続いてはタワーマンション論。問題とかいろいろある。
後はマダム達がマウントを取るというのもあるが、彼女らは何でもマウント対象にするので一種の日常光景であろう。
それ以外の問題点について少し述べてみる。

一つ目に距離問題。いくら駅からマンションが近いと言っても、肝心のマンションのエントランスから自宅までの距離がそれ以上では、
実際の通勤距離は郊外の一軒家にも匹敵するものになるだろう。

例えばであるが、通勤先から最寄駅まで電車で30分(東京・品川など主要駅ならもっと短い気もするが、そこから乗り換えもあるとして高く見積もった)、最寄駅からタワーマンションまで構内通路で3分という物件があったとする。
しかしながら、そこからエレベーターで30Fまで待ち時間を考慮して15分以上かかったとしよう。実際の通勤時間は48分となる。

これが帰りなら分散されているかもしれないが、行きの場合、1階ずつ止まる可能性だってある。もちろん、階ごとにエレベーターが使い分けられているケースもあるが、
そうでない物件も多いし、高層階では満員になる上に各駅停車となるリスクが、低層階ではせっかく着いても満員で乗れないリスクを抱える。
2Fや3Fなら階段も使えなくないが、30Fとかでは厳しいものがあるだろう。やはり地に足はついてないと。

次に防災問題。2019年10月の台風18号による武蔵小杉の浸水は記憶に新しいだろう。
エレベーターの停止、停電と断水、下水道の逆流など、この一件でタワーマンション街への歪みが一気に生まれたといえる。
地震でもおそらく倒れることはないが、柔構造による建築のため高層部では低層部以上の激しくゆったりとして揺れに長時間襲われることとなるだろう。
そうなった場合、高層部は一気に陸の孤島ならぬ「空の孤島」とでも呼ぶべき状態になるのではないか?

2.3.サブリース論

2.4. 限界住宅地論

2.5. 公園論

2.6. 個人的に気に入っているサイトのリンク

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