最低賃金一律1500円への道

さて、最低賃金全国一律+1500円への増額を目指す動きがみられる。これに関しては、私も反対はしない。しかし、一概に「全国一律」にするのには賛成しかねる部分もある。
高い県と低い県で3割ほどの差が開くような現状では、労働の格差が生じるのは当然である。だからといって、その3割を一度に上げれば文在寅政権下の韓国のように地域の経済に混乱が生じる危険性を伴うし、かといって「低いほうに高いほうが合わせるべきだ(=他県が1000円になるまで東京は1000円据え置きにしろ)」という論を認めるわけにはいかないだろう。

持論としては、アメリカのように国で最低賃金を定め、それを上回る範囲で都道府県、及び政令指定都市が最低賃金を定めるべきではないか?もっともアメリカの場合、最低賃金がない州や州の最低賃金が国のそれを割り込んでいるものもあるが、国を上回る額を提示する州もある。一例としてワシントン州では1時間12ドル(2019年)と、これは国の定める額の1.6倍に相当する。また、同州のシアトルでは16ドル(従業員501人以上)を提示している。
もちろん、物価などを加味しなければならないが、都道府県にある程度の裁量を持たせなければ、全体的な最低賃金増加政策は実現しないだろう。

話を戻そう。とりあえず、3%引き上げを維持した上で、何年後に時給1000円を達成できるかを表にした。なお、今回は10都道府県と最下位グループを代表例として比較する。

  達成年 達成年次最低賃金 達成年における
東京の最低賃金
東京 2019 1015 1015
大阪 2021 1023 1076
埼玉・愛知 2022 1011/1007 1109
広島 2024 1008 1176
北海道・富山・福岡 2025 1027/1001 1211
宮城・香川 2026 1011 1245
最下位グループ 2028 1024/1023 1324

そのまま最低賃金を上げたとすれば、9年以上の差が生まれ、またようやく最下位グループが1000円に達する2028年には東京との差が300円も開いてしまう。また、地方格差は2019年の77.4%を維持したまま変わらない。このような地域格差はなるべく是正すべきである。

ケースA:時給1000円まで5%賃上げ、それ以外は3%賃上げ

これは、時給1000円までは5%値上げで東京に追いつくようにし、それ以外は3%値上げとする方法だ。
賃上げ5%といっても1000円からなら50円。日給400円、月給8000円(8時間×20日)。馬鹿にならない額だが、決して不可能なラインとはいえないだろう。

  達成年 達成年次最低賃金 達成年における
東京の最低賃金
東京・神奈川 2019 1015 1015
大阪 2020 1032 1045
埼玉・愛知 2021 1040 1076
広島・北海道 2022 1022/1010 1109
福岡・宮城・香川 2023 1048/1039/1018/1011 1142
最下位グループ 2024 1008 1176

急進的とも呼べるが、2024年までに格差は86.8%まで是正される。これは2002年までの85.3%よりも良い数値である。2025年以降は、全域で5%ずつ上げても構わないし、このまま最下位グループを最低ラインとして引き上げ続けてもかまわないだろう。

ケースB:一律3%値上げ、但し最下位グループは東京と並ぶまで到達するまで50円ずつ値上げ

一気に考えるのを放棄し、単純にひたすら50円ずつ値上げしていくパターン。2036~2037年に15円差まで追いつくが、そこから一気にまた差を開けられる。この段階で、一律制度を導入するのが手だろう。

いずれにせよ、人手不足の時代は今後も数十年続くし、安易に移民を受け入れられない時代も来る。年々上げるこの最低賃金ラインを越えられない企業は淘汰されるべき企業であるといえる。もちろん技術力がある企業もあるにはあるが、それならなぜ売り込める力がないのか?なぜ、人件費を賄えるほどの値上げができないのか?そういうのも考えるべきではないのか?

余談

このまま時給1500円まで到達する年を計算すると、年次3%で東京が2033年、最下位グループが2041年。年次5%で東京が2027年、最下位グループが2032年となる。

この時代まで日本が存続しえるかどうかはわかりませんけどね。

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