4時間の壁を検証する

Column15

目次

前書き

よく、新幹線の勝算として「4時間の壁」なんて言葉が使われる。
多くの場合は「特定地点(多くは東京・大阪)から4時間以内でなければ、意味がない(無駄である)」くらいのニュアンスで使われることが多い。
しかし、本当にそうなのだろうか?何も一点にしか住んでいないわけでもないし、空港の遠近、鉄道駅・新幹線駅の遠近もある。ってことで、やってみる。

ルール

23区

近場の関東甲信は自動車のほうが強い。そこから外の東海・東北・北陸・近畿で鉄道が強い。
そこより外側では飛行機優勢となりシェアは落ちるものの、徳山ではかなり高いシェアを持ち、新居浜や山口が五分五分、北九州や函館でも善戦している。いずれも空港が遠い地域で、新幹線や特急がそこそこの時間を要しても有利な地域である。

また、鉄道が強い地域の中にあって苦戦している地域もある。能登北部・福井(嶺北と南越)・大垣・北勢・田辺である。能登北部は鉄道が廃線になって久しく、なおかつ能登空港がある。田辺も白浜空港がある。福井は当時北陸新幹線開通前で、車と飛行機が残り半分を占めていた。大垣・北勢は新幹線だと名古屋乗換を要するのか、自動車に負ける形に。

東京駅からの時間

目的地 鉄道 飛行機 自動車
能登北部※
(輪島市役所)
13:09着
5時間49分
11:11着
3時間28分
13:49着
7時間49分
福井※2
(福井駅)
9:17着
3時間1分
9:29着
3時間22分
12:08着
6時間8分
大垣
(大垣駅)
8:20着
2時間20分
- 10:43着
4時間43分
北勢
(近鉄四日市駅)
8:18
2時間18分
- 10:31着
4時間31分
徳山
(徳山駅)
10:40着
4時間25分
 13:02着
4時間4分
16:26着
10時間26分
新居浜
(新居浜駅)
11:02着
5時間2分
12:08着
6時間3分
15:12着
9時間12分
北九州
(小倉駅)
10:35着
4時間35分
10:36着
3時間44分
17:54着
11時間54分
福岡
(地下鉄天神駅)
11:06着
5時間6分
9:57着
3時間35分
18:35着
12時間35分
函館※3
(函館駅)
11:20着
4時間48分
9:27着
2時間58分
18:57着※4
12時間57分

徳山・小倉は飛行機のほうが乗車時間は短いものの、運賃は新幹線のほうが安い(ただし飛行機は通常の金額で算出されているため、先得などで割引になる点も留意)。

大垣・北勢は新幹線を使って2時間で着けるが、自動車がまあまあの比率を占めている。
ここで、あることに気づいた。

もう一つの4時間の壁

…もしかして、自動車と鉄道の間にも「4時間の壁」がある?

飛行機と新幹線に価格差があるように、新幹線と自家用車にも価格差はある。車の場合ガソリン代や高速料金代は掛かれど、新幹線よりは安くなるのは確実。とはいえ長時間の運転は大変。

ということで、多摩地区で「鉄道と自動車の4時間の壁」を検証してみることとする。飛行機の影響も受けにくいしちょうどいいだろう。

まあ概ね予想通りとはなったが、いくつか飛び飛びとなっている。関西以西の濃青はほとんどがごくわずかな人数の移動である。

不思議なのが多摩→中南勢のうち9割が車となっている点である。サンプルが少ない可能性も疑ったが、年間数十万人が移動しているのでそうではないだろう。

あと相双地区も上位に入っているが、これは震災の影響でまだ常磐線が全線復旧していなかったのもあるだろう。

…まあそれは後で考察するとして、相関を見てみよう。


車シェアと時間の相関

…僅かに負の相関がみられるように思えるが、まあ誤差の範囲だろう。相関は-0.274と無視できるレベルの相関だ。
外れている和歌山・山形を抜いても-0.015しか変わらず。

これ、鉄道を新幹線除けばまた変わるのかな?

つづく

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